「またダークファンタジーか…」と思った方にこそプレイしてほしい──そんな強烈な個性を放つのが、スマホ向け戦略RPG『シルバー・アンド・ブラッド』です。
プレイヤーは“黒血病”が蔓延する不穏な世界で、火刑寸前の少年ノアとしてヴァンパイアの力を宿し、血の契約で結ばれた仲間=“ヴァッサル”とともに戦っていくという物語。グリッド×カード×配置という三層構造のバトルシステムは、単なる強キャラ押しでは勝てない“知略”が求められる設計。一方で、推しキャラを育て上げて勝利に導く楽しさも健在です。
また、音楽は西木康智氏による重厚なBGM、演出はまるでゴシック劇場を見ているような映像美。イヤホン必須の完成度で、スマホとは思えない没入感を実現しています。
美しくも狂気をはらんだ世界観と、考えるほど味が出るバトル──
この記事では、私自身が実際にプレイして感じた『シルバー・アンド・ブラッド』の魅力を、深く掘り下げてお届けします。
目次
シルバー・アンド・ブラッドとは|ダークファンタジーRPG
このゲームの最大の魅力は、その圧倒的な世界観の作り込みにあります。
舞台は疫病と宗教裁判に支配された中世風のダークファンタジー世界。冒頭から“火刑に処されかける少年”“呪われた血”“救済と犠牲”など、容赦のない重苦しさがプレイヤーを包み込みます。
🔥「この世界で生き延びるには、清らかな心だけでは足りない。」
というメッセージが、ストーリーの随所に込められています。
プレイヤーは黒血病の疑いで火刑に処される寸前、あるヴァンパイアによって救われ、「血の契約」を結びます。以降、彼は“血族”と呼ばれる存在たちと主従関係を結び、彼らを指揮して人類や異形の敵と戦う立場に。
この「血の契約」はゲームの根幹を成すシステムであり、ストーリー、キャラ育成、スキル発動、バトル編成すべてに関わってきます。
本作のバトルシステムは、
9マスのグリッド配置バトル
キャラごとの固有スキル
手札から使う召喚カード
バフ・デバフの状態管理
といった要素が組み合わさった、やや複雑だけど中毒性の高いスタイルです。
単に“強いキャラを揃えれば勝てる”のではなく、敵の範囲攻撃や移動、マス効果を読んだうえでの知略と編成力が求められます。
魅力的なキャラクター=ヴァッサルたち
ゲームに登場するヴァッサル(仲間キャラ)は50人以上。それぞれが独自の背景と性格、戦闘スタイルを持っています。
黒い修道服を纏った狂信者
笑顔の裏に毒を持つ貴族令嬢
血をもてあそぶ拷問好きの処刑人 など
いわゆる“美男美女”キャラが多いですが、ただの見た目重視ではなく、彼らの過去や傷、忠誠の描かれ方が非常に濃密で、まるでビジュアルノベルを読んでいるかのような没入感があります。
演出と音楽で“プレイする物語”を体感
BGMは『オクトパストラベラー』などを手掛けた西木康智氏が担当。ピアノを基調にした悲壮な旋律や、不穏なコーラス付きのバトル曲など、まさにこの“血と契約の物語”にふさわしい仕上がり。
また、シーンごとにカメラ演出やカットイン、アニメ調の演出が入ることで、「ゲームをしている」というより、「物語の中にいる」感覚が強くなります。
グラフィック、音楽、UI、演出──いずれもスマホゲームの域を超えたレベルに感じました。
ただしその分、情報量が非常に多く、ライト層向けではないかもしれません。
「血」「契約」「信仰」「裏切り」──
そんな重いテーマが折り重なる物語を、“戦略ゲーム”として噛み締めながら体験できる異色の一作です。
「ダークファンタジーが好き」「ヴァンパイアや儀式系の世界観が好き」「キャラを愛でながら戦略を考えるのが好き」という方にこそ、強くおすすめしたい作品です。
プレイ初日|とにかく“チュートリアルが濃厚”
序盤から「黒血病」「審問官」「火刑」「血の儀式」など、世界観の設定がものすごく丁寧で、それが“演出”とセットで流れ込んできます。
正直に言うと──
⚠「情報量がすごい。けど、引き込まれる。」
戦闘チュートリアルも丁寧で、マス目の配置とカードを組み合わせて“召喚”するバトルシステムは、慣れるまでにちょっと時間がかかりました。ただ、1日目でバトルに慣れ始めると、だんだんその“戦術性”の面白さにハマっていきます。
2日目以降|ヴァッサル育成が止まらない
各キャラには固有スキル+成長ルートがあって、装備の変更や“契約強化”によってバトルスタイルががらっと変わるのが楽しい。レベル上げというより、“血の関係性”を強める感覚です。
💡ポイント:「好きなキャラ」を見つけたあとは、その子を中心にデッキ構成を考えるのが戦略のカギ。
『シルバー・アンド・ブラッド』を実際にプレイしてまず感じたのが、“音と演出の没入感”が異常なレベルで高いということ。特に音楽とカットインの使い方には、スマホゲームという枠を完全に超えた“映像作品的な重厚さ”を感じました。
このゲームの音楽を手がけているのは、西木康智さん──そう、『オクトパストラベラー』や『ブレイブリーデフォルト』など、数々の名作でファンを魅了してきた作曲家です。
西木氏の音楽は、ただ雰囲気を彩るためのBGMではなく、“物語を語るもう一人の登場人物”といっても過言ではありません。
プレイ中に印象的だったのは以下のような楽曲構成:
🔹 「血の契約」シーンで流れる哀愁のピアノ曲:まるでヴァンパイア文学の1ページをめくるような静謐さ。儀式の重みが音で伝わってきます。
🔸 戦闘中の重低音+ストリングス系BGM:敵の強さや迫力に比例して緊張感が増していき、手に汗握る展開を音で補強。
🔹 キャラ専用のテーマ曲:一部のSSRヴァッサルには専用曲が用意されており、そのキャラの性格や過去を暗示するようなメロディ構成が秀逸です。
🎧 本作を遊ぶなら“イヤホン or ヘッドホン必須”と断言できます。
ゲームの世界に“耳”から取り込まれていく感覚がクセになる。
もうひとつ衝撃だったのが、イベントシーンやバトルのカットイン演出。
2Dと3Dのハイブリッドアニメ調演出に、光と影のコントラストが加わることで、まるで「薄暗い舞台劇」を見ているような錯覚に陥ります。
🩸 契約儀式のアニメーション:血の滴り、揺らぐ蝋燭の火、主人公の苦悶の表情。すべてが美しく、同時にどこか狂気を感じさせる。
⚔ スキル発動時のアングル演出:ヴァッサルの必殺技では、シネマティックな視点移動+一瞬だけカットインされる瞳のアップなど、細かな演出で「重さ」を伝えてきます。
💀 敵側の演出も凄まじい:ボスキャラの中には、登場時に自分の信者を生贄にする演出があったりと、視覚的ショックを意識したシーンも。
この“美しさと不穏さ”の絶妙なバランスが、本作の唯一無二の空気感を生んでいるのは間違いありません。
UI/UXも演出の一部
また、UIにも徹底的に“世界観”が反映されています。
メニューは古書のページをめくるようなデザイン
ガチャ(契約)では、黒曜石の祭壇に触れて召喚する演出
バトル結果のリザルト画面すらも「血と運命の記録帳」風になっている
細部まで一貫したビジュアル設計が施されており、「ただのRPG」では終わらせないという開発の意志が感じられました。
🎼「音で語り、映像で刺す。」
『シルバー・アンド・ブラッド』の演出は、まさにそんな言葉がぴったり。
スマホRPGとしては異例の“音楽×演出”クオリティを誇り、ただ遊ぶだけでなく「感じる」ゲームとして記憶に残ります。
ゲームというより、“一冊の血に染まった劇場型絵本”を開く感覚──そんな印象を強く持ちました。
バトルシステム|知略と好みの融合
『シルバー・アンド・ブラッド』のバトルは、ただの“ポチポチゲー”ではありません。戦術・編成・運・愛(推し)──すべてを融合させて勝利へ導く、緻密で中毒性の高い戦略システムが採用されています。
基本構造|9マスグリッド×召喚カード
戦闘はターン制で、3×3のグリッド上にヴァッサル(キャラクター)を配置して進行します。
配置位置によって攻撃範囲やスキル発動の効果範囲が変化
前衛/後衛の組み合わせによりタンク・アタッカー・サポートの役割を活かす
ターンごとに配られる召喚カードを使って、ヴァッサルを配置 or スキルを発動
つまり、“盤面構築”と“手札管理”が同時進行で求められる構造です。
この2層構造が、まるで将棋とカードゲームのハイブリッドのような深みを持たせています。
知略が生きる局面
実際にプレイしてみて、「このゲーム、頭を使わされるな…」と感じたのは以下のような瞬間です:
敵の行動パターンの読み合い:「次のターン、こいつは縦2列に範囲攻撃を撃ってくる…なら前列は空けて、召喚を後ろに回そう」
スキルタイミングの最適化:「回復スキルを今使う?それとも次の敵ターンまで温存?」
デッキ構築による戦法の幅:「序盤に大量展開して押し切る」「少数精鋭+バフデバフで粘る」など、戦法がデッキ次第で変わる
カードの組み合わせによって発生する“シナジー”も多く、試行錯誤のしがいがあるのが大きな魅力です。
好きなキャラ(=推し)で勝ちに行ける
一方で、“戦略ゲーにありがちな「強キャラ以外使えない問題」”が、本作ではかなり緩和されています。
育成による差別化・特化がしやすい
キャラ同士の“血の契約”で絆スキルが発生
見た目だけでなく、スキルの個性も際立っていて「使ってて楽しい」キャラが多い
たとえば私が育てた“ルーベンス”という毒攻撃タイプのキャラは、序盤こそ脆弱でしたが、装備や契約強化によって持続ダメージの鬼になり、格上相手にも通用するようになりました。
🎯“好き”を戦略に変えられる──それが、このゲームの粋なところ。
育てたヴァッサルたちを使って挑む対人戦モード「ブラッドアリーナ」では、オート戦闘ながらも配置とデッキ構成の妙が問われます。
同キャラが被っても、スキル順序や出し方で勝敗が変わる
シーズン報酬でレア装備や契約強化素材が手に入る
正直、PvEよりこっちにハマってしまう人も多いかもしれません。私は「育てたチームが他人にどう通用するか」を見るのが好きなので
🧠「脳筋プレイは通用しない。でも、推しキャラで勝てる」
『シルバー・アンド・ブラッド』のバトルは、そんな矛盾を見事に融合させたバランス設計です。
頭を使う奥深さと、推しキャラを活かした“感情的な戦い方”が共存しており、勝った時の満足感はひとしお。
戦略ゲー好きはもちろん、「育てたキャラに勝たせてあげたい!」という感情で戦いたい人にも、たまらないシステムだと感じました。
実際に使って感じたメリット・デメリット
✔ メリット
グラフィック・音楽・演出がとにかく美麗
キャラクターの個性が強く、育成が楽しい
ストーリーの没入感が高い(ダークファンタジー好きには最高)
✖ デメリット
チュートリアルが長く、人によっては“重たすぎ”に感じるかも
UIがやや複雑で、慣れるまでが大変
スマホよりもタブレットorエミュレーター向きかも(情報量が多いため)
『シルバー・アンド・ブラッド』は、万人受けするライトゲームではありません。だけど──
🎩「世界観に酔いたい」「キャラ愛で戦いたい」「戦略性にハマりたい」人にはドンピシャな名作です。
特に私は、“育成の果てに仲間たちが覚醒していく演出”に胸が熱くなりました。
こんな人におすすめ!
『オクトパストラベラー』や『ニーア』のようなダークで緻密な世界観が好き
キャラ育成や戦略ゲームが得意
ストーリーを“感じながら”ゲームをしたい人
まとめ|“尖り”と“美しさ”が共存する、唯一無二の戦略体験
『シルバー・アンド・ブラッド』は、いわゆる「よくあるスマホRPG」とは一線を画す作品です。陰鬱な世界観、儀式的で耽美なビジュアル、そして“血の契約”というテーマを軸にした重厚なストーリーは、まさにゴシックダークファンタジーの極み。
その一方で、戦闘システムは非常にシビアで奥深く、カード×マス配置×ターン制という多層的な構造が“知略”を求めてきます。育てたキャラをどう活かすか、デッキをどう組むか、敵の行動をどう読むか──それらを試行錯誤する過程に、他のゲームでは味わえない没入感がありました。
さらに特筆すべきは、音楽と演出の完成度。西木康智氏の手がけたサウンドは、シーンごとの感情のうねりを増幅させ、演出はまるで耽美な舞台劇のようにプレイヤーの心を射抜きます。スマホでここまで“世界観に没入できる”作品には、なかなか出会えません。
万人に向けたゲームではありません。ですが、「尖った世界観に浸りたい」「戦略性の高いバトルが好き」「推しキャラと共に戦いたい」そんな方には、間違いなく突き刺さる一本です。