ナレーションやボイスオーバー、プロのサウンド・エンジニアが使用しているソフトをご紹介します。
目次
Ableton Live 10 Lite
Ableton Liveは音声編集ソフトですが、編集というよりは作曲に特化したソフトです。
この記事は「音声編集」を目的としたソフトの紹介なので、Ableton Liveで「作曲」ではなく「音声編集」をするとしたらという視点で紹介します。
私が所持しているのはAbleton Live 9 Liteだったのですが、先日アップデートがありAbleton Live 10 Liteを持っています(2018年11月現在の最新版はAbleton Live 10)。
Live Liteはシリアルナンバーを持っていれば、無料で最新バージョンのLive Liteがアカウントに追加されアップデートできます。
LiteはLiveの簡易版でアプリやハードウェアに付属しています。
上位ソフトにIntro、Standard、Suiteがあります。
Intro (11,800円。Liteを持っている場合はIntroの購入ができません)、Standard (44,800円)、Suite (78,800円)のご購入はこちら
見やすさ
カスタマイズして編集しやすい画面へ
下の図は初めてソフト立ち上げた際の画面です。
次の下の図は個人的に使いやすくカスタマイズし、声とMIDIの録音をしてそのトラックを表示させた編集画面です。
初期状態だとMIDIトラック・オーディオトラックが表示されておらず編集がしづらいので設定をいじってトラックを表示させ、トラックの分割やエフェクトをかけるなどの編集をしやすくします。
左下にカーソルを合わせた箇所の解説が表示され、そこを見るとポインターのある場所は何をするものか・どうやったら使えるかがわかります。
下の図は上記の内容を図で解説したものです。
画面がごちゃごちゃしており、ボタンも何のボタンか一見しただけではわかりません。
初期状態では編集には向いていませんがカスタマイズができる、たくさんのボタンがあって分かりづらいという理由で、「見やすさ」の評価は星3つです。
使いやすさ
感覚的に編集できる
下の図のようによく使うツールや切り替えはボタンが表示されています。
そしてよく使うと思われる主要なエフェクト「Reverb」と「Delay」はトラックに表示されていて、すぐに適用することができます。
欲しい機能がすぐに使えます。
そしてマルチトラック・複数ウィンドウ(同じソフトを複数立ち上げること)に対応しているので、感覚的に編集することができます。
このようにとても操作しやすい環境なので、「操作性」の評価は星5つです。
基本機能
エフェクトの設定が便利
「インストゥルメント」「オーディオエフェクト」「MIDIエフェクト」の3種類あり、それぞれ下の図のように数が豊富に用意されています。
エフェクトに限らずサウンドなどにマークを付けて「コレクション」に格納することができます。
エフェクトは1つのトラックにいくつでも追加できます。
またプリセットの保存もボタン1つでできるので「この設定で別の音声にも適用したい」という場合にとても便利です。
種類が豊富で使い勝手がとてもいいのですが表記が英語なので苦手な方は使いづらいということで、「エフェクト」の評価は星4つです。
高度な編集機能
下の図はReverbの調整中の図です。
Reverbは適用が簡単でメジャーなエフェクトですが、Ableton Live 10 Liveではこのように細部まで調整できます。
またVSTプラグインに対応しているので、普段使っているVSTを読み込んで使うことができます。しかしVSTを使わなくても十分に編集は可能です。
細部までこだわれてVSTが使えるのは非常にポイントが高いので、「高度な編集」の評価は星5つです。
総合評価
LiteはLiveの簡易版とは言われていますが、付属としてついてくるソフトとしてはでき過ぎているほどの性能です。
これだけ使い勝手がいいのでその上位ソフトには期待ができます。
Suiteが無料でフル機能を30日間使えるのは非常に魅力的なので体験版をダウンロードしてみるのもいいのではないでしょうか?
Audio Director
Audio DirectorはCyberLinkの音声編集ソフトです。
これは「動画編集のためのオーディオ編集」ソフトです。
しかし音声投稿などを目的とした編集も十分に行えます。
最新版はAudio Director 9 (2018年11月現在)ですが、私が所有しているのはAudio Director 5なのでその紹介をします。
最新版Audio Director 9の価格は11,980円(消費税込み・ソフト単体・2018年11月現在)です。
ご購入はこちら↓
無料お試し版(一部機能が制限されます)はこちら
見やすさ
統一された画面で見やすい
上に「編集・復元・ミキシング・CDの作成」というタブがあります。上の図が音声を読み込みまたは録音した際の「編集」画面です。
復元はこちら↓
ミキシングはこちら↓
CDの作成はこちら↓
どの画面も左端にメニューがありその隣に操作部分があります。
全画面統一されており、メニューも分かりやすく表示されています。
下の図は編集の「音声の調整」のプルダウンを開き「ブースト」を展開したときの図です。
プレビューの「調整結果」にマークを入れているとリアルタイムで波形を見ることができます。(プレビューがないメニューもあります)
初心者でもわかりやすく見やすい表記なので、「見やすさ」の評価は星5つです。
使いやすさ
簡単な調整も細かい調整もできる
1つのトラックの編集は下の図のようにほとんどが効果をプルダウンから選択するかつまみをスライドさせる形式です。
しかしプルダウンの隣にある歯車ボタンを押すと細かい調整ができるようになっています
簡単に編集ができて初心者でも使いやすく、「これじゃ物足りないな」と感じたときには詳細な調整ができます。
また「ミキシング」ができるのでマルチトラックに対応しています。
臨機応変に操作できるので、「操作性」の星は5つです。
基本機能
エフェクトの数は少ないが1つ1つの幅が広い
下の図がAudio Director 5のエフェクトの一覧です。
フェード、イコライザー、ノイズ除去など基本的な機能はそろっていますが、上の図のようにすべてのエフェクトを表示できるほど数が少ないです。
しかし前章で述べた通り細かい調整ができます。
上記の理由で「エフェクト」の評価は星4つです。
高度な編集機能
高度な編集はVSTを導入する
そもそもAudio Directorは「動画編集」を最終目的としたソフトで、音声編集に特化したソフトではありません。
そのため高度な音声編集はインストール状態では不可能です。
スペクトラム表示も波形ではなく音色で表示されるため、慣れてない人は不便と感じるでしょう。
(下の図はAudio Director 5のスペクトラム表示)
しかしVSTプラグインに対応しているので、お好みのVSTを導入することができます。
インストール時にはあまり期待はできませんがカスタムして使えるようにできるので、「高度な編集」の評価は星3つです。
総合評価
Audio Directorは動画編集を最終的な目標としているため、他のソフトに比べ音声編集に特化していません。
しかし一般人が「動画や音声をインターネットに投稿したい」という目的で使うのであれば、十分に使えるソフトです。
「仕事に使う」「プロとして活動したい」という方は別のソフトを検討することをおすすめします。
SoundEngine Pro
SoundEngine Proは日本ではメジャーなSoundEngine Freeの上位ソフトです。
ダウンロード・インストールは誰でもできますが、使用するには「フリーチケット」もしくは「サポーターチケット」が必要です。
非営利の「個人・教育利用および転載目的」の場合はフリーチケット(無料)を入手して使うことができます。
フリーチケットはこちら(https://soundengine.jp/free_ticket/)にアクセスし、下の図のように「フリーチケットを取得」というリンクをクリックすると下にフリーチケットが表示されます。
フリーチケットを利用する場合は、初回のソフト起動時にフリーチケットを入力します。入手した際にテキストのコピーはできますが、ソフトにペーストすることができないので手で入力する必要があります。その際に「:」の右に「半角スペース」を1つ入れることを忘れないでください。文字・記号は全て半角です。
非営利ではない「個人・教育利用および転載目的」である場合はサポーターチケット(1000円 / 1口で1口以上)が必要です。
サポーターチケットを必要とされる方は下のリンク先を一読の上サポーターに登録してください。
https://soundengine.jp/supporter/
なおSoundEngine Freeにおいても共通しているのですが、SoundEngine は開発会社であるCoderiumによるソフトウェアサポートが提供されていません。それはSoundEngine Proのサポーターになっても同じことで、メールで問い合わせても返答はもらえません。
不明点がある場合はヘルプを参照してください。
https://soundengine.jp/wordpress/soundengine_help/
フリーチケットもサポーターチケットも有効期間は1年間で、期間終了後も継続して使用したい場合は再度チケットを入手する必要があります。
フリーチケットは何度でも無料で入手できます。
サポーターチケットは1口1000円で1口以上の寄付が必要です。
ソフトが使えるようになると、初回は下の図のようなウィンドウが現れます。
今回はノーマルモードの紹介です。
見やすさ
分かりづらいことがない見やすい画面
下の図が音声を読み込み・録音した時の画面です。
見た目はSoundEngine Freeと全く変わりません。相違点は機能です。(詳しくは後述)
上からメニュー、操作ボタン、タブがあります。
個人的に見やすくするとこのような画面になりました。
青と赤で示したように、「サイドバー」と「ヴィジュアル」を表示させました。
特に分かりづらいところがないので、「見やすさ」の評価は星5つです。
使いやすさ
操作性に関しては賛否両論
分からないことがあったらすぐにSoundEngineのホームページ内で検索できるショートカット(画面右上)があります。 (GoogleやYahoo!などの検索エンジンで検索したい場合はご自身のブラウザを立ち上げて検索してください)
前章でお伝えした通りSoundEngine ProとSoundEngine Freeでは違いがあります。
それはProではMP3の読み込み・保存ができるようになったことと、PCで再生している音声をキャプチャできるようになったことです。これはとても大きな違いです。
また前章の画面の図を参照すればわかるのですが、SoundEngineはシングルトラックです。サブトラックがありますがとても使い物にはなりません。Mixをしたいという方はマルチトラックに対応したフリーソフト「RadioLine Free」を使用することをCoderiumがおすすめしています。
RadioLine Freeは下のリンクをクリックして「RadioLine Free」というリンクをクリックするとインストーラーのダウンロードが始まります。(RadioLine Free はRelease版とTest版があるので、お好きな方をダウンロードしてください)
https://soundengine.jp/software/
しかしシングルトラックとはいえSoundEngineを複数立ち上げる「複数ウィンドウ」に対応しているので、音声の切り貼りはできます。
使い勝手の好き嫌いが分かれるので、「操作性」の評価は3です。
基本機能
エフェクトはあるが機能面にばらつきあり
エフェクトの数は多くはありませんがイコライザー・コンプレッサー・ディレイ・ノイズ除去などの基本的なものはそろっています。その他ボーカル除去など特徴的なエフェクトも少しあります。
しかしその機能に問題があります。簡単な調整しかできないものもあれば、細かく調整できるものもあるという点です。
下の図はグラフィックイコライザー(左)とディレイ(右)のウィンドウです。
イコライザーのつまみがこれだけしかないのは問題です。これでは変えたくない周波数の音まで変えてしまいます。
一方ディレイは音声編集ソフト界ではトップクラスの調整ができるようになっています。
このばらつきが気になるので「エフェクト」の評価は星3つです。
高度な編集機能
高度な編集ができるかどうかは目的による
前章で述べた通りエフェクトの機能にばらつきがあるのでしたい編集が満足にできることもあればできないこともあります。
しかし音質ツールはかなりそろっているので、音質を編集したい場合にはもってこいです。
またVSTには対応していません。使いたいVSTがある場合にはSoundEngine Pro以外のソフト(Audacityなど)で対応してください。
音質は十分に編集できますが満足にできるか不明かつVSTが非対応ということで、「高度な編集」の評価は星2つです。
総合評価
SoundEngine ProはFreeと比べるとMP3が使えるようになった・キャプチャができるようになったというは大きな違いはありますが、機能面で劇的に違うところは見当たりません。
SoundEngineは人によって好みがわかれるソフトです。
個人的には「○○するときはこのソフト」というような使用条件を決めており、SoundEngineはキャプチャ用で編集は別のソフトでしています。