もともと留学を考えていたんですが、ふと「いきなり海外に行って大丈夫かな…?」という不安がよぎりました。
語学力はある程度あっても、“外国人とリアルに会話する経験”がほとんどなかったので、そこで思いついたのが、マッチングアプリを通じて外国人とコミュニケーションしてみることでした。
選んだのは、日本語しか話せなくてもOKな、自動翻訳付きのアプリ。
気軽な練習のつもりで登録しただけだったんですが、日本に住んでいるフランス人女性と出会って、恋人関係にまでなるなんて、正直思ってもいませんでした。
異文化コミュニケーションに興味がある方、留学を控えている方、そして“ちょっと違う恋の形”を探している方に、ぜひ読んでもらえたら嬉しいです。
目次
マッチングアプリでフランス人女性に出会ったきっかけ
正直に言うと、「外国人と付き合ってみたいな」という気持ちは前からなんとなくありました。
特別な理由があったわけではなく、ただ日本のマッチングアプリに少し疲れていた頃で、ちょうど留学も考えていたので、もっと違う文化や価値観を持った人と触れてみたいな、と思ったのが最初の動機でした。
そんな時に見つけたのが、自動翻訳機能付きのマッチングアプリ。
私は「Kiseki」というマッチングアプリをたまたま検索結果に出てきたので使ったんですが、自動翻訳機能付きのものであれば、他のマッチングアプリでも大丈夫かなと思います。
外国語に堪能であれば問題ないですが、私はそこまでだったので、翻訳機能付きじゃないと、メッセージのやり取りがかなりめんどくさいです。
ただ、いろいろ考えて実際に登録してみたものの、外国語が得意じゃないので、なんとなく自分から積極的に“いいね”を送っておいて、まともに会話できないってなると気まずいと思って、正直“放置気味”。翻訳機能があっても、やっぱり文化も言語も違う相手に自分から話しかけるのは、ちょっとハードルが高く感じていました。
そんな僕のもとに、ある日突然メッセージが届きました。
送り主は、京都に住むフランス人女性・エリーズ。
「こんにちは。あなたのプロフィール、すごく丁寧で安心感がありますね」──そんな一言がきっかけでした。
マッチング後の実際のやり取り・会話内容
初めはbotなんじゃないかと思いましたが、適当に登録していた写真についてのメッセージだったので、いちを返信してみるかと思って返信したのがきっかけでした。
参考までに、エリーズから届いた最初のメッセージは、こんな感じでした。
「こんにちは。あなたのプロフィール、すごく丁寧で安心感がありますね。写真のサクラが素敵ですね。どこで撮影したのですか。」
海外の女性からいきなりこんな風に褒められるとは思っていなかったので、
正直、驚きと同時に「ちゃんと見てくれているんだな」と感動しました。
やり取りは日本語と英語が入り混じりながらも、すべてがスムーズ。
というのも、彼女は翻訳アプリを活用しながら、自分の言葉で伝える努力を惜しまない人だったからです。
例えば、こちらが「今日は仕事でヘトヘト」と送ると、
「お疲れ様って日本語、すごく好き。優しい響きですね」と返してくれる。
言葉の裏にある文化や気持ちを大切にしようとする姿勢が、やり取りの中からじわじわと伝わってきました。
そして何より印象的だったのが、彼女の返信には必ず“質問”が添えられていたこと。
「どんな仕事をしているの?」「週末は何してるの?」
それは決して形式的なものではなく、本当に相手を知りたいという気持ちから出ているのが伝わってくるんです。
マッチングアプリではありがちな、“表面だけのやり取り”とはまったく違う。
彼女の言葉には、文化の違いを越えて「あなたとちゃんと向き合いたい」という意志がありました。
その誠実さとあたたかさに、僕の心は次第にほぐれていきました。
やり取りを重ねるうちに、「この人と、もっと話してみたい」と自然に思うようになっていきました。
初対面の思い出
はじめてエリーズと会ったのは、ちょうど桜が満開を迎えた京都・鴨川沿いの週末でした。
彼女から「桜が大好き。日本の春は特別ですね」と言われて、「じゃあ一緒に見に行こうか」と誘ったのがきっかけです。
待ち合わせ場所に着いてしばらくすると、遠くから手を振る小柄な女性がこちらに向かってきました。
画面越しで何度も話していたけれど、実際に会うのはやはり違います。
彼女が近づいてきて、「Bonjour」と小さく挨拶してくれた瞬間、その柔らかい表情と緊張した笑顔に、一気に心がほぐれたのを覚えています。
カフェに入っても、最初はお互い少しぎこちなくて、
「これ、なんて言うんだっけ? “はじめまして”でいいの?」なんてやりとりをしながら、
緊張を笑いでごまかし合っていました。
でも、カフェの窓から見える桜を見ながら「日本の季節は、絵みたい」とつぶやいた彼女の声を聞いて、
「この人と過ごす時間は、ゆっくりでいいんだな」と思えたんです。
そのあと、川沿いを一緒に歩きながら桜を眺め、途中で見つけた屋台でみたらし団子をシェアしたり、
お互いの国の“お花見文化”について語り合ったり。
一見すると、ただのんびりした散歩ですが、
言葉だけじゃない“感覚”のすり合わせができたような、かけがえのない時間でした。
「日本で桜を見るのは3回目だけど、今日は一番思い出になると思う」
彼女がそう言ってくれたとき、僕もまったく同じ気持ちだったのです。
外国人女性との会話の中で語学力や文化を学ぶことができる
エリーズと過ごすようになって感じたのは、異文化の違いは避けるものじゃなく、話し合って越えていくものだということでした。
たとえば、初めてのデートのあと。
僕が「また連絡するね」と言って別れたら、彼女は少し寂しそうな表情をしていました。
後日、メッセージでその時の気持ちを聞くと、こう返ってきたんです。
「“また連絡する”って、日本では社交辞令の場合もあるでしょ? 本当にまた会いたいと思ってくれてるのか、ちょっと不安だったの」
なるほど、と思いました。
日本ではあえて強く言わず“察してもらう”文化があるけれど、フランスでは言葉にして“想いを明確に伝える”ことが、礼儀であり誠意なんですよね。
それから僕は、彼女に対してできるだけ率直に気持ちを言葉にするように心がけるようになりました。
「今日は会えて本当に楽しかった」とか、「またすぐに会いたい」とか。
それまでなら照れくさくて言えなかったことも、彼女が喜ぶならと自然に口に出せるようになってきたんです。
逆に彼女も、日本人特有の“あいまいさ”や“遠回しの表現”に戸惑うことがありましたが、
それを「わからないからダメ」と切り捨てず、「この言い方はどういう意味?」と毎回ちゃんと聞いてくれる。
この姿勢には、本当に頭が下がりました。
文化や考え方が違うからといって壁を作るのではなく、お互いに歩み寄ること──それが、関係を育てていくうえで何より大切なんだと実感した瞬間でした。
「わかり合えない」と諦める前に、「わかりたい」と伝える。
その繰り返しが、僕らの関係をゆっくり、でも確実に深めてくれたんだと思います。
付き合ってみると毎日が留学体験になる
エリーズと出会って、もうすぐ一年。
今では週に一度はどちらかの家で過ごすのが、自然な“ふたりのリズム”になっています。
お互い仕事が忙しい中でも、金曜の夜は一緒にごはんを作って食べるのが定番。
彼女のリクエストで初めて作った“しょうが焼き”は、今や彼女の一番のお気に入りになりました。
「次は親子丼を教えてね」と笑いながら言う彼女に、つい張り切ってしまう自分がいます。
逆に、僕はフランスの家庭料理に触れる機会も増えました。
“キッシュ・ロレーヌ”や“ラタトゥイユ”といった料理を、「これはお母さんの味に近いよ」と嬉しそうに教えてくれる姿を見ると、彼女の中に流れる“文化”と“思い出”に、そっと触れられたような気持ちになります。
週末には近くのスーパーに買い物に行ったり、公園でコーヒー片手に語り合ったり、ときにはお互いの言語を勉強し合ったり──
特別なことをしているわけじゃないけれど、そのどれもがかけがえのない時間です。
言葉のすれ違いがまったくないわけではありません。
でも、以前よりもお互いの「沈黙」や「遠慮」の意味を、少しずつ読み取れるようになってきました。
何より嬉しいのは、どんな些細なことでもちゃんと話し合える関係になったこと。
「一緒にいると、時間があっという間に過ぎるね」
エリーズがふと漏らしたこの言葉は、僕にとってもまったく同じ感覚です。
恋人という関係に名前が変わっても、根っこにあるのは“分かり合おうとすること”。
それが日常の中で積み重なって、今の僕らの関係をつくっていると実感しています。
まとめ
あくまで「留学前の練習」として軽い気持ちで始めた、外国人とのマッチング。
でも、そこで出会ったエリーズとの関係は、言葉の壁や文化の違いを越えて、気づけば今では、かけがえのない恋人との日常へと変わっていきました。
異文化の恋愛って、もちろん簡単なことばかりじゃありません。
最初はすれ違ったり、遠慮したり、言葉の裏にある感情が読めなくて戸惑うことも多かった。
でも、お互いに「わかりたい」と思って向き合えば、
その違いさえも“愛しさ”に変わっていくんだと、彼女との日々が教えてくれました。
もし、これを読んでいるあなたが
「いつか留学してみたい」「海外の人と話してみたい」
そんな想いをほんの少しでも持っているなら、
ぜひ一歩だけ踏み出してみてください。
思いがけない出会いが、きっとあなたの世界を広げてくれます。
そしてもしかしたら、あなたにとっての“エリーズ”のような存在と出会えるかもしれません。