「モテないけど、外国人にはウケそうな顔してるよな」
そんな軽口みたいな一言をきっかけに、私は半信半疑で外国人とつながれるマッチングアプリに登録しました。
特に恋愛を期待していたわけじゃなく、どちらかといえば“英語の練習”ができればいいな、くらいの気持ち。
でも、そこで出会ったオーストラリアから日本に来ていた留学生・エミリーと最初は緊張とカタコトの英語から始まった関係が、いつの間にか恋人になって、週末が待ち遠しくなって、気づけば英語力も、人との向き合い方も、そして世界の見え方さえも変わっていました。
日本人にモテなくても外国人はイケる!
そんな実感を、伝えられたら嬉しいです。
目次
外国人と出会えるマッチングアプリに登録したきっかけ|「外国人にモテそうだね」の一言
正直に言うと、私はこれまでモテるタイプではありませんでした。
中学・高校・大学と、いわゆる“彼女いない歴=年齢”のまま順調に年を重ねてきたタイプ。
恋愛に興味がないわけじゃないけれど、女子との距離感もよくわからなくて、いつも友達止まり。
そんなある日、サークルの飲み会で先輩に何気なく言われたんです。
「お前さ、めちゃくちゃ外国人ウケしそうな顔してない?アジア系が好きな子にハマりそう」
その時は冗談半分で笑って受け流していたけど、帰り道にふと思ったんですよね。
「…本当にそうなのかもしれないな」
それまでマッチングアプリってどこか“モテる人が使うもの”って思い込んでたけど、“外国人と話してみる”って目的なら、むしろ試してみてもいいのかもと思えてきて。
しかも調べてみたら、翻訳機能がついていて、日本語しか話せない自分でも外国人と会話できるアプリがあることを知って、軽い気持ちで登録してみることにしたのがきっかけでした。
私はたまたま「Kiseki」にしましたが、他の自動翻訳機能がついてるものであればなんでもいいと思います。
最初は「どうせ誰にも相手にされないだろう」と思っていたけど、
そのアプリで出会ったオーストラリアから日本に来ていた彼女との出会いが、私の予想を大きく裏切ってくれました──。
出会った外国人女性|オーストラリア人のエミリー
彼女の名前はエミリー(仮名)。
アプリ内で初めて彼女のプロフィールを見たとき、正直、あまりの笑顔の自然さに「これは絶対サクラじゃないな」と思ったのを覚えています。
くしゃっと目元まで笑ってる写真で、「日本文化に興味があって留学中です」と英語で書かれていた紹介文。
その文章も変にこなれてなくて、素朴な人柄がにじみ出ていて、気がついたら彼女のプロフィールを何度も見返していました。
数時間後、彼女のほうから届いたのが、こんなメッセージ。
「Hi! You look very gentle. I just moved to Tokyo and still getting used to life here :)」
私はその一言で、一気に心を持っていかれました。
優しい言葉づかい、あたたかい雰囲気、そして自分の“いま”をちゃんと伝えようとする姿勢。
この人と話してみたい。そう思って、翻訳機能を駆使しながら、なんとか英語で返信しました。
最初はぎこちなかったけど、エミリーは私のカタコト英語にもすごく丁寧に返してくれて、「あなたの言い方、すごくかわいい」と笑ってくれたり、わからなそうな部分があると、すぐに「これってこういう意味で合ってる?」って確認してくれたり。
やり取りを重ねるうちに、「通じ合いたい」という気持ちって、言語よりも先に相手に伝わるんだな」と実感するようになりました。
話題は、日本での生活のこと、好きなアニメの話、ホームシックのこと、大学の授業の違い──
どれも特別な会話じゃないけど、彼女のリアクションはひとつひとつが丁寧で、どこか新鮮で。
少しずつ、ただの「会話相手」から、「もっと知りたい人」になっていった感覚がありました。
彼女の笑顔を見るたびに、「もっとちゃんと英語で思ってることを伝えたい」と思うようになっていきました。
初めての対面は、緊張と笑いの連続
エミリーとメッセージのやり取りを始めてから、ちょうど2週間が経った頃。
「今度、どこかでお茶でもどう?」と彼女のほうから誘ってくれました。
正直、めちゃくちゃ緊張しました。
対面で外国人女性と話すなんて初めてだし、英語がちゃんと通じるのかも不安で。
前日は何を着て行こうかずっと悩んで、当日の朝は胃が軽く痛かったのを覚えています。
待ち合わせ場所は、表参道のカフェ。
人も多くて、いろんな国の言葉が飛び交うような場所だったのに、彼女が店の前で手を振ってくれた瞬間だけ、まわりの音が一瞬ふっと消えたような気がしました。
「Hey! You really came! I was a little nervous too」
彼女の第一声。
笑顔は写真そのままで、でももっとあたたかくて、なんだかホッとして、
「自分も同じように緊張してたんだ」と思った瞬間に、自然と笑ってしまいました。
席に着いてからも最初はちょっとぎこちなかったけど、彼女が「Don’t worry, just talk slowly. I’ll follow」と言ってくれて、それをきっかけに少しずつリズムが生まれていきました。
途中、彼女が「“みたらし団子”って何?」と聞いてきたのでスマホで写真を見せたら、「Oh! It looks like soy sauce mochi!? Weird but I want to try!」と真顔で言われて爆笑したり、「“よろしくお願いします”っていつ使うの?」という質問にうまく答えられず焦ったり──
とにかく、英語が得意じゃない私と、日本語がまだ苦手な彼女だからこそ生まれた、変なテンポのやりとりがすごく楽しかったんです。
会話が終わったあと、彼女がコップを持って「Kanpai…って言うんだよね?」と照れくさそうに言った瞬間、なんかもう、そのぎこちなさすら愛おしく感じてしまいました。
店を出て、別れ際。
「今日は本当にありがとう。またすぐ会おうね」と言ってくれた彼女の言葉が、
嬉しすぎて、あとから電車の中で何度も反芻してしまったのは…内緒です。
あの日の午後、私は「外国人と会話してみる練習」のつもりだったのに、
いつのまにか、“ちゃんと好きになってしまった”自分に気づいていました。
英語力も、世界の見方も、彼女との関係が育ててくれた
エミリーと出会ってから、私の中でいちばん変わったのは、「英語との向き合い方」だったと思います。
正直、もともと英語は得意じゃなくて、TOEICの点数も400点台。
“話す”ことに関しては、ほぼゼロに近かった私が、
いまではエミリーと週に何度も英語で会話しながら、日常の出来事や感情まで自然に伝えられるようになっています。
最初のうちは、「通じるかな」「間違ってないかな」とビクビクしながら話していたけれど、
エミリーはいつも私の言葉をじっくり聞いてくれて、「わからなかったらゆっくりでいいよ」と声をかけてくれました。
そのおかげで、次第に“英語を間違えないように話す”から、“自分の言葉で伝えたいから話す”へと、気持ちが変わっていったんです。
それからは自然と、もっと話したくて、自分から英語の勉強を始めるようになりました。
YouTubeの英会話動画、Netflixの英語字幕、ポッドキャストのシャドーイング……
エミリーとの会話の中で出てきたフレーズをノートに書き留めて、覚えるのが楽しくて仕方なかった。
気づけば、TOEICのスコアも半年で705点にアップ。
でもそれよりも、“英語ができる”という自信より、“誰かとちゃんとつながれる”という実感が、何よりの成果でした。
英語だけじゃありません。
エミリーと話す中で、私は自分が今まで知らなかった“世界の見方”にもたくさん出会いました。
たとえば、相手の意見に対して「うんうん」と曖昧にうなずくのは、“共感”として通じないこともあるんだとか。
好きな人にはちゃんと「好き」と言葉で伝えるのが、海外では当たり前だということ。
話し合いを避ける“察し文化”よりも、自分の感情や希望をしっかり言うことが、思いやりとして受け取られることも知りました。
そういう価値観の違いに最初は戸惑ったけれど、話し合って理解し合う中で、少しずつ、自分の中の“当たり前”が広がっていく感覚がありました。
彼女と出会って、英語力がついたのはもちろんだけど、
それ以上に、世界が近くなった感じがするんです。
「自分の言葉で、自分の気持ちを、異なる文化の誰かに伝える」
そんな経験は、教科書の中にも、大学の授業にもなかった、
私にとっての“本物の学び”だったと思います。
今では“恋人”としての時間を大切にしています
エミリーとは、あれから何度も会うようになり、自然な流れで付き合うことになりました。
正直、「外国人の彼女ができた」なんて、数ヶ月前の自分が聞いたら絶対に信じないと思います。
でも今ではそれが日常で、しかもすごく心地いい。
私たちは週に1〜2回、大学やバイトのスケジュールを調整しながら時間を作って会っています。
いつもどこかに遠出するわけじゃなくて、近所のスーパーで買い物して一緒に料理したり、彼女の好きなカフェでコーヒーを飲みながらまったり話したり、家でNetflixを観ながらお互いの母国語を教え合ったり──
“特別なデート”じゃない時間を、自然に楽しめる関係になっています。
英語での会話も、最初に比べればだいぶスムーズになったけど、たまに言いたいことがうまく出てこなくて「うーん…」って詰まると、エミリーは笑って「You’re cute when you think so hard」とからかってくる。
それがなんだか嬉しくて、「うまく話さなきゃ」じゃなくて「一緒に伝わるように頑張ればいいや」って気楽になれるんです。
付き合ってから気づいたのは、恋愛って言葉の数より、信頼の積み重ねなんだなってこと。
文化や言語の違いがあっても、「ちゃんと考えてくれてる」「ちゃんと受け止めてくれてる」っていう感覚があると、安心して自分を出せるし、相手のことももっと知りたくなる。
そして何よりも、私にとってエミリーは、“外国人の彼女”ではなく、“大切な人”そのものになりました。
彼女の日本語が少しずつ上手くなってきて、「今日ね、バイトでがんばったよ」とか、「ごはんおいしかった、ありがとう」って、たどたどしくても気持ちを込めて伝えてくれるとき、言葉以上に強いものがちゃんと伝わってくる気がして、胸があたたかくなります。
この関係を大事にしながら、私ももっと英語を、そして彼女を、知っていきたい。
そう思える人に出会えたことが、何よりの“奇跡”だと思っています。
まとめ
最初はほんの軽い気持ちで始めたアプリ。
「外国人と話せたら英語の練習になるかな」くらいのつもりだったのに、気づけば私は、本気で誰かを好きになっていました。
オーストラリアから日本に来た彼女との毎日は、言葉の壁も、文化の違いも、すべてが“学び”であり“喜び”になっていきました。
彼女と過ごす中で、英語力が伸びたことはもちろん、
人との距離の詰め方や、自分の気持ちを言葉にして伝えることの大切さも初めて知ったような気がします。
「外国人と付き合うなんて、自分には関係ない」と思っていたあの頃の自分に、
今ならこう伝えたいです。
「世界は思っているより近くて、優しい。そして、ちゃんと向き合えば伝わる」
もし今、同じように迷っている誰かがいるなら、ほんの少しだけ勇気を出して、一歩踏み出してみてください。
その一歩が、あなたの世界をぐっと広げてくれるかもしれません。